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司法書士にインタビュー 新規の会社設立時の準備・心構え

 
 

現役司法書士が語る!!「間違いだらけの会社設立」アローズ・リーガル・サービス 奥村聡先生
 

奥村 聡 (経営コンサルタント・司法書士)/ アローズ・リーガル・サービス代表

1975年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。
大学卒業後、大手デパートそごうに入社するものの一年で退社。その数ヶ月後、会社は民事再生法が適用される。
26歳で司法書士試験に合格し、翌年、埼玉県で開業。3年で10名を超えるスタッフを抱える地域トップクラスの事務所へと成長させる。
事業が軌道に乗った頃、祖父の会社が不祥事によってあっけなく倒産してしまう。社内に入って事件処理や諸手続などを行いながら、企業のもろさや、倒産が与える影響の大きさ、社長が地位と資産を失う痛みを目の当たりにすることとなる。
30歳のときには司法書士事務所を法人化し、都内へ支店も設置。相続のワンストップサービスや、会社分割を活用した企業支援のビジネスモデルを作る。
華やかに見える事業の成長に反し、内部的なスタッフ間の意識のズレや事務所の取るべき方向性を悩はじめ、33歳のときに事務所をM&Aで他のグループに譲渡することを決断。難しいとされる士業事務所のM&Aを成立させる。
フリー転身後は、自身のM&Aの体験や経営者としての苦悩、法務・財務の知恵などを生かし、社長業の締めくくりを迎えた中小企業経営者の道先案内人を務めている。

著書
リスク回避のための“生前相続”のススメ (ぎょうせい)

»アローズ・リーガル・サービスのホームページはこちら

アローズ・リーガル・サービスの奥村聡先生(司法書士)に法律家の観点から、会社設立する起業家の「よくある間違い」や「勘違い」について聞いてみました。また、奥村先生自身の起業時の体験をインタビューさせていただきました。
(インタビュアー ワンストップビジネスセンター、ディレクター安田知世)

 
 

会社設立時によく聞かれることって何ですか?

先生は会社設立の手続きをたくさんされていたと伺っています。

そうですね。以前は毎月十数社と結構な数をこなしていました。

どうやって集客していたのですか?

ホームページですね。

最近は会社設立にあまり力を入れられなくなったと聞いていますが、当初と今は価格などかなり違いますか?

もう、それは全然違いますよ。僕が始めた時は株式会社設立一式で32万~34万の世界でした。しかし、現在は22〜24万。今は定款認証がオンラインでできるようになって、とても安く会社を設立できるようになりました。ワンストップビジネスセンターさんでもずいぶんお安く設立のお手伝いをされていますよね。

会社設立の時によく起業家の方から聞かれた質問ってどのようなものがありますか?
私が最近よく聞かれるのは、『決算期ってどうしたら良いですか』という質問です。後は本店登記する際に建物の名称を入れるか、入れないかということなどもよく聞かれるのですが、名称を入れるか入れないかというのは何か違いがあるのですか?

本店を証明するものって、住民票は法務局に出さないから、建物や部屋番などは載せないことはできます。住所を証明しようがないのですよ。

なるほど。

後は私がよく聞かれるのは『会社設立日ってなんですか?』という質問です。これは法務局に書類を提出する日の事ですよね?

そうです。書類を提出した日が誕生日になってしまうので重要な日ですね。書類上、例えば『効力発生日が3月1日だけど、登記は3月3日に申請しました』という風にできるものが多い中、会社設立の場合は提出した日が効力発生日になってしまうんです。

通常、法人の本店住所変更とかだったら、前述のように効果発生日と書類提出日は異なりますよね。

法務局の営業日というは基本的にカレンダー通りですよね?

そうです。

また、法務局の作成書類のチェックは厳しいですか?

そんなことはないですよ。必要とされる書類さえそろっていれば、そのまま受け取ってもらえますよ。

最近、注意する点としては類似商号が無くなりましたね。

そうですね。ネット等で調べて、類似しなければ大丈夫みたいな感じで非常に楽になりました。

株式会社と合同会社の違いについてはよく聞かれますか?

私は聞かれないですね。というのも合同会社という単語を知っている人はほとんどいないんです。

本当ですか?

はい。合同会社のことを、ご存じないことが多いので、むしろ私の方から『合同会社もありじゃないですか?』というご提案をしています。

では具体的に先生は株式会社と合同会社は何が違うと思いますか?

 
 
インタビュー風景
 

中小企業のレベルではあまり違いはないと思います。役員と株主がほぼ同じ扱いで所有と運営が分離されてないとか、細かい事を言えば決算公告をしないでいいとか、合同会社は役員任期がない等の細かい違いはありますが、事業的運営上の側面から見れば、そんなに違いはないと思います。正直、一般の中小企業では資本と経営の分離の概念がないし、決算公告もしてないし、取締役の任期についても変更もあまりないので。

なぜ合同会社という組織が誕生し、有限会社の設立ができなくなってしまったのでしょうか?

私も詳しいことはわかりません。でも非常によく似ていますね。合同会社と有限会社のメリットとデメリットは。

かつての有限会社も株式会社と同じく、取締役の設置ってありましたよね?

ありました。でも当時は役員1名でよかったですね。株式会社は3名以上が必要でしたから。有限会社も最低の資本金が300万以上を求められましたが、2000年過ぎから、資本金1円の会社が解禁になってしまい、資本金の制限がそもそもなくなり、さらに役員も1名でもよくなってしまったので、株式会社と有限会社の差がなくなり、有限会社を残す意味が無くなってしまったんだと思います。

なるほどですね。では定款というものがいまいちよくわからないのですが。何のためにあるのでしょうか?

定款というのは皆さんが会社に保管されている目に見える実際の紙の印刷物が定款ではなくて、概念として定款があってそれがたまたま目に見える印刷物として、手元にあると考えていただければと思います。例えば、本店住所を決議で変えた時は文書上の定款の文字が変わっていなくても概念上の定款は変更されたとみなされています。ですので、本店を港区から新宿区に移転するという決議を変えたとしたら紙を変えなくても、概念は変わります。

定款に関する私の経験ですが、銀行融資の際に例えば、かつて飲食業をしていた会社が、現在は建築業をやっていたとすると、その紙の定款と事業内容が違うということで『定款を修正してください』と言われることがありますね。

最初の定款は定款認証をやるので事業の内容を証明できるのですが、ある程度、会社設立後、時間が経ってしまうと正しい定款というものを証明のしようがないんですね。完全自己申告です。なぜなら、第三者機関で定款を持っているところがありませんから。

たしかに。

安田さんも経験があると思いますが、どこか銀行や役所に定款を提出する際には『現在の定款に相違が無い』と書かされたことありませんか?そうって自己申告するしかないんですね。

『資本金はいくらあればいいんですか?』という質問もよく受けます。先生はどう思いますか?

見る人は見るし、気にする人は気にするので、ある程度はあったほうがいいと思います。

たとえば、資本金が10万円とかだと会社の設立費用すら足らないということになりますよね。ですからある程度、ちゃんとしている方がいいと思います。実際に銀行からお金借りる場合でも、融資の総額は資本金の2倍まで!などの資本金のルールがありますので、何も考えないでとりあえず安く!という考えはあまりおすすめいたしません。

 
 
インタビュー風景
 

ちょっと言葉は厳しいですが、100万しか資本金ないのに設立に30万必要ですと言われて「はいはい」とお金を簡単に出す人は、成功するマインドから遠い気がします。お金の使い方をもっと真剣に考えたほうがいい。お金を使う場合は、本当にそれが将来につながる投資になるのかいつも考え続けることが私自身大切だと思っています。とくに事業の初期段階では。お金を払う相手によっては、売上につながらないのはもったいないと思います。
会社の設立費用なんて投資ではなくただのコストですから、資本金が少なめの方には『合同会社がありますよ!』と勧めるのですが、10人中9人以上は『良いとは思いますが株式にします』といわれます。『なぜ?』と私が聞くと、『聴き馴染の無い言葉で、他に合同会社でやっている人を知らないから』というのです。そういう人はその時点で起業をやめた方がいいと思ってしまいます。自分の存在が目出つことメリットとマイナスに思ってしまうのですから。

多分、皆と同じ方を向きたくなるんでしょうね。

みんなと同じ方向を向きたくないからの起業ですよね!それこそ今は実費だけで24万のものが合同会社なら定款認証ないから7万とか半分以下になるし、珍しいのならば相手から合同会社って何って?聞いてもらえるし、自分たちの考えを語るきっかけにもなります。僕の友達にも最初の方に無理やり勧めて合同会社にさせた人がいますがそれがきっかけで取材がきたりとメリットはありましたよ。

人と違う事をやりなさいとおっしゃるわけですね。

そうです。それを恐れない事です。『自分で道を作れ』と言いたいです。

なるほど、よくわかりました。決算期の設定についての先生の考え方を教えてください。

決算期は登記簿には載りません。定款に載るだけのものですね。色々考え方はありますが。業務が暇なときとか、あとは設立日からまるまる1年間事業年度に充てられるほうがよいと思います。多分、最初の事業1年目は良くわからない数字になるし(笑)、税理士さんへの決算、税務申告料がすぐ発生したらもったいないですよね。

 
 

司法書士として開業したころの話を教えてください。

先生が開業したのっていつでしたか?

27歳のときで平成15年ですね

9年目ですか?

9年目です

その前は何をされていたのですか?

大学卒業後、某大手百貨店に入社したのですが、1年で辞めました(笑)

なぜ辞めたのですか?

将来的に先がないと思ったからです。そして、私が辞めたら約半年後に倒産してしまいました(笑)。

先見の明ですね。でも、なぜ倒産するってわかったのですか?

社内の人もあまり業績が良くないことは知っていました。株価低かったですし。当時先輩社員からは『よくこんな会社入ってきたな』みたいなこと言われました(笑)

そんなこと言われたのですか?

そうなんです。入社当時から雰囲気は暗かったですから、私もすぐにピンと来ました。

その百貨店を辞められてからは、何をされましたか?

その後は専業受験生です。塾講師のバイトしながら。

何年勉強されたのですか?

2年勉強して司法書士試験は2回目で合格しました。

ではそもそもなぜ司法書士だったのですか?

消去法です。数字は苦手なので、税理士、会計士は無くなって、弁護士でずっと受からないのは嫌だし、他だと食べて行けないので嫌だし、当時一番受かりやすくて食べていけるのが司法書士だったという単純な理由です。

後は開業が早くできるからです。合格すればすぐ開業できたので

他の資格の方々は司法書士と違うのですか?

そうなんです。他の資格は実務経験が必要だったりしてすぐに開業できないんですよ。

では先生は資格をすぐ取って、即開業ですか?

 
 
インタビュー風景
 

いえいえ、半年くらい他の司法書士事務所に勤めました。試験中から試験に受かるというのを確信して、よくある法務局近いような事務所です。昔の典型的な司法書士事務所というは、不動産屋さんと銀行さんしか相手にしてないから一般人が来ても煩わしいかなぐらいの感じの仕事スタイルの事務所でした。

もともとは土地の関係の仕事をやろうと思ったのですね?

当時は不動産登記で9割、会社の登記1割が普通の司法書士事務所の売上バランスでした。都内になると会社の商業登記をメインにされている事務所とかありますが、そういった事務所はなかなかありませんでした。

土地の登記とは例えば遺産相続とかでしょうか?

相続もありますがメインは不動産の売買です。売買の時に、不動産を売る前に付随している抵当権を一緒に消して、新しくその不動産を買う人がローン組む、そこの仕切りの部分が一番需要のある仕事でした。

それでは半年勤めてその後、開業しようと思ったのはどのようなタイミングですか?

ある程度、司法書士事務所の事業全体を勉強できたし、勤め先で学ぶものが無くなってきたと感じたので開業しました。

そして、その後、川越で始められたのですね?最初は事務所とか借りましたか?

事務所は借りましたよ。その頃、バーチャルオフィスって知らなかったんですよ(笑)

最初はもちろん、1人で始められたのですか?

そうですね。最初は1人でしたが、でも開業後、3か月目くらいに同期で司法書士に受かった女の子がほかの事務所やめるっていうことを聞いたので、ちょっと手伝ってほしいと声をかけました。

最初はどうやって集客しましたか?

初めは司法書士会からの斡旋で法人の会社を紹介されました。しかし、それ以外は個人のお客様を集めてました。この業界は不動産特定業者、銀行からの登記の仕事が多いのですが、そこしか相手にしないのはずっと疑問に思っていて、一般の方とか一般の会社員の方が相談に来れるような形ができるのではと思い、それをコンセプトにしました。それで個人といえば、ホームページだと思い、ライバルに先駆けてWEBに力を入れたので、それがうまく行きましたね。それでWEB経由で色々な相談が舞い込んできました。

どんなキーワードでホームページを作っていたのですか?

例えば『埼玉 破産』とか『離婚』とか『交通事故』等、色々な相談が来きましたよ。もちろん、司法書士の業務権限では対応できない部分はありましたが。

悩みが根深い部分ですものね

本当に色々な事をやりましたよ。不当解雇の給料未払い問題などもありましたね。そして、大きくなっていくうちに債務整理の仕事が増えてきました。

債務整理がビジネスになると何で気がついたのですか?

数が多くなってきたなって言うのと、支援協議会みたいなところに出入りするようになって、これはビジネスとしてすごく大きなマーケットになるのではないかという気はしていました。

何年前くらいでしたっけ?かなり速かったですよね?

初めの年からやっていたので、9年前ですね

10年ぐらい続いていますね。この債務整理のマーケットは。

ずっと終ると言われつつ、まだ残っていますね

そして、数年経って、その債務整理の事業を他の事務所さんに売られたんですね?

はい、そうです。会社ごと売ってしまいました。2年前くらいのことですが、業界自体が閉塞感あり、登記などの案件をこなす仕事には向いていなかったので。経営面でもメンバー間の意識のズレや成長の鈍化などに苦悩するようになり、売却という出口を求めたのです。

先生は起業家タイプですね!

債務整理でまだまだ稼げると思っていてもいずれ縮小していくのが見えてくると興味が無くなってしまうんです。一つの事業を作るまでは夢中になるんですが、ある程度出来ると思ったら興味が無くなってしまうのです。しかし、本来はそこからが一番利益的に良くて先行者利益があるところなのですが、そんなに気分が乗らないというこまった性格です(笑)

 
 

今、もう一度、ゼロから司法書士事務所を開業するとしたら?

今、ゼロから司法書士で開業するとしたら何をやりますか?

何をやるかは分からないですがコンセプト作りは力を入れます。あまり司法書士という枠にとらわれず、『お客さんに一生のうちでいくら落としてもらえるか?』という考え方をしたほうがいいと思います。司法書士業界って気づいている人が少ないのですが、とても多くのお客さんの名簿が集まります。それこそ1年間に100人、200人どころじゃない登記の数をやりますから、不動産を持っている人の名簿はものすごく集まる。それはビジネスで考えればすごい話なのですがそれを何も活かせていないんです。登記自体で単価が下がって食えなくなるのは誰が見ても当然の話なので次にその名簿をどう生かすかというマーケティングの発想が大切です。

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